【データ公開】太陽光15年、発電量の実態
公開日:2026-10-11
「壊れていないのに発電量が減る」という現実
太陽光発電を設置して10年を過ぎた頃から、「以前より売電収入が減った気がする」と感じるオーナーは少なくありません。しかし、パネルが故障しているわけでも、エラー表示が出ているわけでもない。この「動いているのに減っている」状態こそ、見逃しやすい落とし穴です。
実際に2012年設置の4.75kWシステムを14年以上運用してきたオーナーの記録では、パネル自体は一度も故障していないにもかかわらず、ある時期を境に理論値に対する実際の発電量の割合が目に見えて低下し始めたといいます。機器は「壊れる」前に、静かに「劣化する」のです。
つまり、故障という分かりやすいサインを待っていると、気づかないうちに収入が目減りしている可能性があるということです。まずはこの前提を理解しておくことが、長期的な運用の第一歩になります。
カギを握るのはパワーコンディショナの寿命
発電量の低下を考えるうえで、最も注目すべき機器が「パワーコンディショナ(パワコン)」です。パネルでつくられた直流の電気を、家庭や売電で使える交流に変換する役割を担っています。
一般にパワコンの寿命は10年〜15年程度と言われています。「壊れたら交換すればいい」と考える方も多いですが、実際には故障前から変換効率がじわじわと落ちていくケースがあります。パネルが元気でも、変換する側が衰えれば、結果として売電量は減ってしまうのです。
設置から10年を超えた発電所では、パネルだけでなくパワコンの状態も視野に入れておく必要があります。
発電量は季節でも大きく変動する
発電量の低下を判断するとき、季節変動を無視してはいけません。月別に見ると、5月が年間ピークで650kWh前後まで伸びる一方、1月は420kWh程度まで落ち込みます。冬は太陽の高さが低く、発電時間そのものが短いためです。
6月は梅雨で450kWhまで落ち、7〜8月は日照が長いものの高温により効率が下がります。つまり「先月より減った」という単純比較では、劣化なのか季節要因なのかを切り分けられません。
だからこそ、日照条件から算出した理論値と実績を並べて比較する方法が有効です。この習慣が、本当の劣化に早期に気づく手がかりになります。
15年目に訪れる「70%の壁」
長期運用のデータでは、設置から年数が経つにつれて、理論値に対する実際の発電量の割合が低下し、15年目あたりで70%を切るケースが報告されています。これが俗に言われる「15年目の壁」です。
これはパネルの故障ではなく、機器全体の経年劣化が積み重なった結果と考えられます。FIT期間が終わりに近づく発電所では、この低下が収益に直結します。だからこそ、感覚ではなく数字で状態を把握することが欠かせません。
メンテナンスと点検は義務でもある
改正FIT法により、住宅用を含む太陽光発電設備には保守点検が義務付けられています。点検を怠ると、最悪の場合はFIT認定の取り消しにつながるリスクもあります。
維持費は定期点検費と突発的な修繕費に分かれますが、不具合を放置すれば発電効率は下がり、売電収入も減り続けます。点検は「面倒な義務」ではなく、収益を守るための投資と考えましょう。
まずは発電所の状態を正確に把握することが大切です。